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-第二十八回-

 

*Spain/Pays Basque_『Touron』*


 

マジパン?あのデコレーション用の甘いだけのヤツでしょ

 

マジパンと聞いてあまり美味しい印象はないなぁ

 

はて...わしは近頃パンは食べてなくてのぉ...

 

 

これは私の頭の中の新宿の街角で行ったアンケート結果です

 

日本人のマジパンに対する認識が酷過ぎる...

 

この結果には私、本当に驚いたわ

 

皆さんはきっと美味しいマジパンを知らないだけなの

 

今回は日本では馴染みの少ないマジパン菓子の"Touron"(トゥーロン)をご紹介するわよ


 

そもそもマジパンって何かご存知ですか?

 

ハイ、そこのアナタ!そう、そこのアナタよ。

 

だから、今振り返ってるアナタよ!

 

 

そう、アーモンドと砂糖を練り合わせたアーモンドペースト

 

何、あなた知ってんじゃない!

 

でも。もうちょっとアタシが詳しく説明してあげるわ

 

 

そもそもマジパンにはいくつか種類があって

 

砂糖が大半を占めるデコレーション用のマジパン

 

アーモンドが大半を占める味を楽しむ用のマジパン

 

彼への想いが大半を占める彼女の手作りのマジパン

 

暗黙の了解が大半を占めるお金の匂いのするマジパン

 

優しさが大半を占めるおばあちゃんの握ったマジパン

 

 

その他、色々あるんだけど

 

市場に出回っているのは最初の二つ

 

デコレーション用というのはお祝いのケーキの上に乗っている人形や花のマジパンで

 

こちらは砂糖たっぷりで細工がし易いんだけど

 

目立ってるくせに美味しくないんだな

 

もう一つは地味で目立たないヤツ

 

どのクラスにも一人や二人いただろう

 

私生活が謎な、誰ともあんまり喋らないヤツ

 

そう、彼だ。

 

お菓子界でもそんな存在

 

ところがそんな彼が実は良い味出すんだよね

 

 

さて、マジパンの説明はこの辺りで...

 

今回のTouronはスペイン東部やフランスのバスク地方で作られるマジパン菓子で

 

大きな四角柱をスライスして売られています

 

ここまでの写真は全てフランスのバスク地方のもの

 

バスクには観光客も多く訪れますが

 

このド派手な色の謎のお菓子になかなか手が伸びないのも分からなくは無い

 

ところがどっこいコレが美味い

 

特にエスプレット産の唐辛子(バスクの特産)を練り込んだ左のTouronの味にはビビります

 

周りのガリガリとした砂糖の食感

 

練りこまれた唐辛子の優しい辛さ

 

年下の後輩にちょっとキツく"しっかり仕事してください!"って言われる感じ

 

そんな経験ないけどね

 

 

さて、ここからはスペインのTouron

 

あまり知られていないかもしれないんですが

 

実はスペインのアーモンドって凄く美味しいんですよ

 

すーっとしていながらも強いアーモンドの香りなんです

 

アメリカ産がお喋りなオテンバ娘だとすると

 

スペイン産は凛としたお嬢様

 

フランス産はアニメの主人公の女の子

 

トルコ産はその親友の水色の髪の同級生かな

 

 

和菓子に馴染みのある日本人ならきっと好きになれるお菓子だと信じてるんですが

 

なにせ、あくどい出しゃばりデコレーション用マジパンの存在感が強い為か

 

この味が日本に浸透していないのが現状ですね

 

お菓子屋でマジパンを見つけたら、やんちゃな彼じゃなくて

 

地味で陰気な彼にも目を向けてやって下さい

 

意外と良い趣味持ってたりするので

 

 

フランスではマジパンはチョコや飴と同じ並びのお菓子で

 

マダムが白い手袋なんかして扱っていたりします

 

ちなみにトルコでも"badem ezmesi"(バーデムエズメスィ)という名でマジパンが食べられています

 

トルコにはピスタチオで作られたリッチなマジパンも定番の一つ

 

badem ezmesiに関しては"THE PASTRY TIMES"vol.9に載せていますのでコチラもどうぞ

 

 

マジパンについて少しは興味を持ってもらえたかな?

 

流行の先取りはあなたたち得意でしょ

 

早めにチェックしておいた方がいいわよ

 

この先、絶対日本でマジパンが流行るから