丸い生地でクリームを挟む、日曜の盛り合わせの小菓子
デリツィオーザ
deliziosa[delitˈtsjoza](イタリア語。複数形 deliziose) / deliziosa napoletana(イタリア語。「ナポリのデリツィオーザ」)
- 出会った町
- イタリア・ナポリItalia / Napoli
- 分類
- 焼き菓子
- 主材料
- 小麦粉・バター・砂糖・卵黄・ヘーゼルナッツ
- 地方
- カンパニア州 / ナポリ県
- 記録の年
- 2010
- 図版
- 2点


定義
デリツィオーザ(deliziosa)は、ナポリの菓子店に並ぶ小さな菓子だ。バターを使ったさくさくのタルト生地を丸く抜いて焼き、2枚でバタークリームを挟む。仕上げには、縁に刻んだヘーゼルナッツ、上から粉砂糖。2枚の生地を重ねた姿は、小さなパンに具を挟んだようにも見える。名は、イタリア語で「とてもおいしい」という意味の言葉だ。
由来
なぜこの名になったのか、いつどの菓子店で生まれたのかは、はっきりしない。ナポリの地元の記事には、食べると思わず「デリツィオーザ」と声に出したくなる味だ、と書くものがある。ナポリのあるカンパニア州でたくさん採れるヘーゼルナッツを使った、ナポリならではの菓子だ、と紹介する記事もある。
分布
ナポリの菓子店では、ババやスフォリアテッラと並ぶ、いちばんの定番の一つだ、と書く記事がある。ババはラム酒入りのシロップを含ませた、パンに近い生地の菓子。スフォリアテッラは、貝殻の形や丸い形に焼く菓子だ。ただ、デリツィオーザはその二つほどは知られておらず、ほぼカンパニア州の中でしか名が通らないという。
構造と製法
生地は、小麦粉にバターと卵黄、砂糖、すりおろしたレモンの皮を合わせたもの。バターに加えて、同じ量のを入れる作り方もある。3〜4ミリの厚さにのばし、コップなどで小さな丸に抜いて、180度で20分ほど焼く。一方、やや厚めにのばして、焼いたあとも生地をかなりやわらかく残すのが、別の記事の作り方だ。
クリームは、バターを粉砂糖とバニラで泡立てて作る。そこにカスタードクリームを混ぜるか、すりつぶしたヘーゼルナッツのペーストを加えるかは、作り方によって違う。片方の生地にクリームをのせて平らにならし、もう1枚と合わせたら、縁にはヘーゼルナッツの粒。仕上げの粉砂糖を、出す直前にふるよう書く記事もある。
ナポリの老舗で買ったものは、上の生地の縁がきつね色に焼け、その上を粉砂糖が白く覆っていた。横から見ると、その下の層は上の生地よりずっと厚い。まわりは、刻んだナッツには見えない、黄色っぽい細かな粉に覆われていた。
変種と周辺
名の似たデリツィア・アル・リモーネ(delizia al limone)は、ナポリ湾の南に突き出たソレント半島と、半島の南のサレルノ湾に面したアマルフィ海岸の、別の菓子だ。小さなスポンジ生地にレモンのクリームを詰め、外側も同じクリームで覆う。ナポリで日曜に食べる菓子の盛り合わせを紹介する記事も、二つを別々の菓子として名を挙げている。
ほめ言葉そのままの名は、別の菓子にも付いている。1937年に出た、フランスの料理書のイタリア語版には、デリツィオーゼ(deliziose)という小さな菓子が載る。アーモンドの粉で作る楕円の焼き菓子にバタークリームを詰め、砂糖がけで覆ったもので、チョコレートとコーヒーの2種類がある。ナポリのものとは別の菓子だ。
供される場面
ナポリやカンパニアでは、日曜や祝日の昼食のあとに、菓子店で買った小さな菓子を盆に盛り合わせて出すのが習わしだ。ナポリでは、この盛り合わせをグアンティエーラ(guantiera。盆)とも、カルトッチョ(cartoccio。紙包み)とも呼ぶ。デリツィオーザは、そこに欠かせない菓子の一つとされる。
ナポリの老舗の一軒では、買った菓子を、店の名の入った金色の厚紙の台に並べてくれた。デリツィオーザの隣には、スフォリアテッラや、ゆでた麦の粒とを詰めて焼くタルトのパスティエラ、店の名物のチョコレートの菓子。台ごと白い紙で包んだ上から、リボンがかけてあった。
地元の記事の一つによれば、日曜の盛り合わせが広まったのは20世紀のはじめだ。新しく育ってきた中流の家族の多くにとって、ミサの帰りに菓子店へ寄るのが決まりごとになった。食べ方は二通りあるそうで、そのままかぶりつく人もいれば、先に生地を外してクリームから食べる人もいる。
記録から見えること
現地で食べたのは、ナポリの老舗で買った一つだけだ。その一つには、記事に載る作り方と違う所があった。生地はクッキーのようにしっかりしていて、焼いたあともやわらかく残すという作り方とは違う。中のクリームも、そのときは生クリームと受け取った。記事の作り方では、どれもバタークリームを挟む。
文献の記録
観察記録
| № | 年月 | 町 | 所見 | |
|---|---|---|---|---|
| 01 | 2010.05.01(手書きの旅日記) | ナポリ | スフォリアテッラ2つやパスティエラと一緒に買って食べた。しっかりしたクッキーのような生地にクリーム。上は粉砂糖で真っ白、まわりに「謎の粉(チーズか?)」。「コレもたぶん Napoli」 | 手書きの旅日記 |