10 days in Myanmar


第六綴

ミャンマー最後の目的地、マンダレーへたどり着いたころには体調は随分良くなっていたけれど、次は猛烈な腹痛が襲ってきた。レトロなパッケージの風邪薬が強力すぎたのかもしれない。これまでミャンマーの脂っこい、もはや脂そのもののような料理やお菓子を勢いよく胃に詰め込んできた。今まさに胃をはじめ、各消化器官が拡声器を片手におなかの中でデモ行進が施行されているのだ。確かに、ぼくは彼らに目を向けるようなことはなく、自分のやりたいようにやってきた。胃薬のひとつも飲んでやれなかった。ぼくが悪いのか。反省しているが、すまない、時間がないんだ。夕方にマンダレーに着いた初日、さっそくホテルの向かいでマンダレーの名物トモッを食し、夜市へと向かいシャンヌードルを食べるのであった。冷や汗が止まらなかった。夜はデモ運動が盛んになり、ぼくが睡眠を許されることはなかった。翌日、マンダレーの中央市場へ行ってみるとこれまでミャンマーで見てきた市場よりも規模が大きく、地元の人との交流を楽しんでいたのも束の間、お腹の赤いランプは激しく点灯していた。また冷や汗を垂らしながら全身を集中させ、一歩ずつ、一歩ずつ、粗相を犯さぬよう、少しずつ、少しずつ、足を動かしホテルへと帰るのであった。

 

マンダレーのお菓子屋は独特な販売スタイルをしていた。これはほかの地方では見ることはなかったのでマンダレーのオリジナルだと思う。お菓子がズラーっと横に並んだカウンターテーブルから店員さんが目の前でオーダーもしていないお菓子を次々にカットしてゆきお皿に盛ってくれるのだ。これを一つずつ食べ、味わっているとまたオーダーもしていないお菓子が勢いよく盛られる。お会計してもらおうとすると、「どれにするの?」と、聞いてくる。訳も分からずこれが美味しかった。というとパッケージ箱がやってきた。エンドレスに盛られるお菓子はあくまで試食だったのだ。マンダレーのお菓子屋は気前が良かった。他のお店も同じ販売スタイルが定着しているのは賑わっていた人気店を真似ているのかもしれない。

マンダレーでは芋と米を練り合わせたトモッと呼ばれる硬さのあるわらび餅のようなお菓子が名物で各店で売られていた。ナッツやドライフルーツが入っているものからコーヒー、イチゴといったバリエーションまで。食べた中ではミルクジャムのようなものが乗っているトモッが特に好みだった。

 

いよいよマンダレーの後は夜行列車で首都ヤンゴンへ。17時から翌朝7時、14時間の大移動にお腹は耐えることができるのか。そんな不安をもとに帰路についた。


出国まで

あと時間